前回の記事では点字を読んだ。
6つの突起だけで、さまざまなことを示していた。
ということは、もしかしてアレも同じしくみ?
私の頭に浮かんだものは
点字ブロックだ。
だってほら、名前がもう「”点字”ブロック」だし!
丸い突起があるし!
目の不自由なひとが白い杖で辿っているの、見たことあるし!
きっと点字ブロックにも、指で読む点字のように
細かい書き方やルールがあるに違いない…!
と、いそいそと調べ出した私に衝撃が走った。
なんと、2種類しかないというのだ。
丸いの…「警告ブロック」。注意すべき位置を示す
棒状の…「誘導ブロック」。進行方向を示す
警告か、誘導か。
そのどちらかでしかないのだという。
確かに…丸いポツポツのと、棒状のと、
2種類しかない。
電車のドアの部分は「警告」、
ドアとドアの間は「誘導」。
切符売り場へ「誘導」し、
目の前に券売機があることを「警告」している。
段差(階段)の始まりと終わりを「警告」している。
曲がるところや、交差するところには「警告」
道路に出るところにも「警告」。
段差や斜面に差し掛かる所にも「警告」。
なるほど、いろいろ見ていると、たった2種類でも示したいことが読み取れるようになってくる。
2種類でも…
と思っていたら、新種発見。
なんか付属品みたいな細いの、ついてる。
と思ったら、一体化してるのもある。
「警告」と「誘導」の間をとったみたいな
楕円形のもある。
(設置場所から推測するに「誘導」らしい。)
ビミョーな長さの「誘導」もある。
なんだなんだ、2種類じゃなかったのか?
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ここで、点字ブロック(正式名称は「視覚障害者誘導用ブロック」と言う)の歴史。
1967年に岡山県内に設置されたのが最初。なんと日本が発祥。
1970年頃から全国に広まり、
2000年にブロックの突起、形状、寸法及び配列に関する統一した規格が示される。
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全国で一斉に「せーの」で始めたわけではないので、
ご当地ブロックというか、ローカルルールみたいなものが自然発生し、
2000年に規格が決まったあとでも残っている、ということのようだ。
バラバラだけど、それぞれになんとかしなきゃと考えた結果なんだろうな。
そんなわけで、「誘導」なのか「警告」なのか、白杖の先や足の裏では判断が難しい楕円形のが今でも残っていたり、
楕円形の破損した部分を現在の規格のもので修復したり、位置の変更を行ったりした結果
こんなことになっていたり、
こんなことになっていたりする部分もある。
部分と言えば、
つなぎ目をカバーする、丁寧な仕事。
丁寧な仕事。
(新旧混ざっちゃってるけど…)
丁寧な仕事。
(楕円形の「誘導」だけど…)
ちなみに、ゆるやかな曲がりやスロープに「警告」を設置しすぎるのも、いちいち歩みを止めてしまうことになるのであんまり良くないみたい。
なので、曲がる部分は、内角が135度以上であれば「警告」ブロックを設置しなくて良いらしい。
これは135度なさそうだから、本当は「警告」ブロックを入れることが望ましいのだろうけど、
この丁寧な仕事ぶりには敬意を表したい。愛らしい。
なんかオシャレーなやつも、ある。
オシャレーな「誘導」と
オシャレーな「警告」。
誘導された先に、急に左に曲がる「警告」を発見。
エレベーターでもあるのかな?
「御用の方はインターフォンでご連絡ください」
(点字では『ゴヨーノカタワ、インターホンデ、ゴレンラククダサイ。』)
なるほど、ここはゆるやかなスロープになっているから、
お手伝いが必要だったら呼んでね、の為のインターフォンが壁に埋め込まれていたのか。
こんなの普段、気づかないよなぁ。
壁にこんなものがあるなんて、
点字ブロックが「警告」してくれなければ、見えてなかったよ。
最後にこちらもご紹介。
突起の配列で横断歩道を形作っているのか?!と思ったのだけど、そういうわけではないみたい。深読みしすぎた。
道路横断帯、通称エスコートゾーンというもので
点字ブロックとはまた別のもの。
横断歩道内で進行方向を見失わないために役立っているのだそうだ。
今まで景色に溶け込みすぎて、意識していなかった点字ブロック。
今では私にいろいろなことを警告し、誘導してくれる。
なんだか新しい言語を習得したみたいだ。
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<参考文献>
「点字ブロック ―日本発 視覚障害者が世界を安全に歩くために―」
徳田克己・水野智美 著
2011年9月、福村出版株式会社
【2019年8月、引越しとともに追記】2018年5月、自由ポータルに掲載していただきました