消防ショーケースを見てほしい
プロローグ
ちかくの消防署には
カエルとてるてる坊主がいる。
え、どこ?
ポスターが貼られている、ここです。
こんな並びだったこともありました。
その他にも季節によって飾りが変えられていて、通りがかるたび気になっていたのだけど、
この間ほかの消防署の前を通ったら
あらー
あひるちゃんたち…!
さっきのは梅雨の時期に合わせたっぽい趣があったけど、
これは、あれだな、季節感の演出とか関係なく、まっすぐに「かわいさ」を押し出してきているな…!
もしかしてこの飾りつけって、他の消防署でも楽しく行われているんじゃなかろうか。そうだ、きっとそうに違いない。そうに違いない!!(思い込みの力)
この魅力について考える
いったん落ち着いて、私がなぜ心惹かれたのかを考えてみる。
1.「質実剛健」で「質素」という、おおやけの機関における一般的な立ち振る舞いのなかに
2.突如あらわれる、意外な一面。
3.鍛え上げられた消防士さんたちの、無駄なく美しい筋肉をまとった身体との、ギャップ。
4.そのたくましい指でそのケースをからりと開けて、ちいさなかえるちゃんやアヒルちゃんをそっと設置するシーンの妄想。
はっ…
やばい…
これは…
推せる…!!!
消防ショーケース、推せる…!!!!
こうしてここに「消防ショーケース推し」が誕生したのであった。
(消防ショーケースとはすなわち、『消防署にある飾りつけされた掲示板のガラスケース』のことを指します。今定義した!もちろん駄洒落が発端だ!)
ということで「消防ショーケース」を巡ります!
仮説を立てる
まずは地図で「消防署」と検索をし、行き先を検討する。
へぇ、てるてる坊主があった消防署は「宮園出張所」って名前だったんだ。あひるちゃんの消防署は「東中野出張所」か…。
あっ。わたし、気づいちゃったかも。
「出張所」は、飾りつけするのにちょうどいいのではないのかしら。
(いいんだよ、仮説ってぇのは、ある程度幅を持たせたほうが躍動するもんだよ…!)
この仮説が正しいとしたら、私がこれから巡ろうとしているところの予想はこんなふうになる。
(電車+徒歩で行きやすい場所をピックアップしているので場所に脈略はありません。このあと都内の地名がちらほら出てきますが、場所に詳しくなくても全然平気なので、地理地名が得意ではない方も安心してついてきてくださいね~)
「ある」予想が三か所も!3つも新たな消防ショーケースを見つけちゃったら、もう立派なコレクション記事になるじゃない!うふふ。新しいムーブメントを生み出しちゃうかも…!
なんという下心がいけなかったのだ、きっと。
怪しい雲行きと印象的なキャベツ
意気揚々と出かけた一か所目、武蔵野消防署吉祥寺出張所。
雨の中、最寄り駅から5分くらい歩いて到着。
「出張所」だから、私の予想では「○:ショーケースあり」なんだけど、さて…
ない。いきなり出鼻をくじかれた。
えーなんでー、飾り付けられるくらいの幅、あるのにー。遠慮しないで飾っていいんだよ…!
気を取り直して、二か所目。
「消防署」だから…ないんじゃないかな。
ほら、ない。
予想は当たってるんだけど、二か所つづけて「ない」だと、なんだか不安だ。
この日は細かくて執拗な雨が降っていて、駅から20分くらい歩いてたどりついたときには傘を差していたのにベージュのジャケットはしっかり濡れて、濃い色に変わってしまっていた。こんな濡れ方してちゃ休憩でカフェなんか寄ってもびっくりされちゃうだろうなぁ、って思っててくてく歩く。結果、長靴で靴ずれしてしまい、両足の小指が痛い。
ここであきらめてたまるか!と一旦自宅にピットインし、靴を履き替えてリトライ。雨のなかふたたび野に放たれた消防ショーケースハンター。
三か所目、光が丘消防署。なし。
四か所目、練馬消防署。なし。
途中ですれ違った女の人、左手に傘、右手に「毎度ありがとうございます」の象のイラストのテープが直接貼られたキャベツを掴んでいた。レジ袋、買いたくなかったんだろうな。
おかげで「練馬の特産物はキャベツ」が強烈に刻み込まれた。こんどのテストで「東京でキャベツの名産地は?」って問題は正解できる自信がある。でもあいにく、今後ふたたび小学生になる予定がないな。
五か所目、石神井消防署大泉出張所。「出張所」だから、あってくれ~
という願いもむなしく、なし。
途中経過
ここまでの成績を見てみましょう。
振り返るほどじゃなかったね。予想、ひとっつも当たってないね…。
靴ずれした両足の小指がじりじり痛いけど、あと2か所、がんばって巡ろう…まってろよショーケース…!
店舗番号?
このあたりで疲れと焦りとが蓄積されて「あれ、消防署名の看板のうえに119って数字書いてあるな、もしかして消防署ができた順に番号が振ってあるのかな?それを調べてみるのも面白そうだな…」なんて一瞬本気で頭をよぎったけど、ちがうよね、そういう番号じゃないよね119って。
ふう…。
疲れてるな、私…。
帰ろかな…。
しかしここでなんとなくひっかかる気がして、引き返す前にもう一度写真を撮る。
…ちょっと待て!!
視線を上にやれば、鬼やクマやおひさまなどがいるじゃないか!
しかしどれもこれも、見事なまでに日焼けして色あせている。
あれだな、「以前器用なひとが作ってくれて、その人は異動しちゃったから作りなおせないけど外すのももったいないし可愛いからこのままにしとこうか」、てきなやつだな!多くの職場で起きがちな案件だな!(うちの職場でも起きているよ)
ちょっと予想外のかたちだったけど、『消防署にある飾りつけされた掲示板のガラスケース』という定義に照らせばまごうことなく消防ショーケースだ。よし、コレクションに追加だ!!(わーわー!)(大歓声!)(紙吹雪!)
最後、池袋消防署。
なし。コケ生えてる。これも「植物を使ったショーケースだ!」と強引に言い張ろうと思ったけど、さすがに「ザ・苔」なのでやめておきます。
1日目結果
では今日の戦績です。
この日に巡ったのは7か所。予想と結果はこちら。
本日の結果、1勝6敗。
ううむ、このまま仮説のハズレを認めるのは悔しい。でも雨やら靴擦れやらで疲れちゃったな、よし、潔く今日は撤収だ!
2日目(最終日)
ショーケースハント2日目。この日はうって変わっていい天気で暑くて、まあまあ過酷な旅となった。
数か月ぶりに髪を切りに行った帰り、 美容師さんがさらっさらに仕上げてくれた髪を結ぶのがもったいなくて下して巻いてもらったけど、今日は暑いのだった。そしてマスク。おしゃれは我慢ってこれかー。
荏原消防署。なし。
このあたりは土地勘が全然ないから、どれくらい歩いたらどこにたどり着けるのか、が全然わからない。わからないまま、ただ消防ショーケースを求め、スマホの地図を頼りに。今年は雨の多い梅雨だけど、今日の暑さもまた、梅雨だ。
荏原消防署小山出張所、なし。
雷はなんとなく(火事の原因になるから?)わかるけど、濃霧注意報なんかもここでお知らせするんだ、へぇ~
あちぃあちぃとなんとかたどり着いた駅前のドトールでいったん休憩。頼んだドリンクがなかなか出てこず、待っている間に開いた文庫本にその土地の名前が出てきてびっくりした。時々こういう偶然がある人生。
やっと冷たいドリンクが提供された時にはすっかり身体の熱は取れていて、エアコンのせいでむしろちょっと寒いくらい。あったかい飲み物にすればよかった…と毎年暑い時期にしがちな反省。おお、この反省、今季初かも。またこの季節がやってきたな。
突然のフィナーレ
電車に乗って移動。
恵比寿で降り、向かう先はガーデンプレイスでも写真美術館でもリキッドルームでもなく、
渋谷消防署恵比寿出張所。なし。
ところで街路灯がビールだった。馬車にもビール載ってる。夜光るのかな。
目黒消防署中目黒出張所。
あっ!!!
消防ショーケース!!
消防ショーケースだ!!(わーわー!)(大歓声!)(紙吹雪!)
よく見たら上げ底までされている!!
見てほしさが如実に現れている。見られたさが充満している。もうこれは、ショーケース中のショーケースと呼んでも過言ではないだろう。消防ショーアップショーケースだ!!(わーわー!)(大歓声!)(金テープ!)(ファンファーレ!)(鳩!)
あまりにも見事なショーケースだったので、これを〆としようじゃないか。そうだそうだ、そうしよう。
(実はこの後さらに二か所巡ったのだけど、気分良く終わるためにここを〆といたします…!でも調査数にはこっそり加えちゃおうっと…!)
結果発表
消防署5か所、出張所10か所を巡った結果がこちら!
「出張所」10か所のうち、消防ショーケースが確認できたのは4か所!!
つまり、当初の仮説
「出張所」は、飾りつけするのにちょうどいいのではないのかしら。
エピローグ(と、お願い!)
みんなで見ようぜ消防ショーケース!!
*1:キュータくん