視線が気になる。
もう、いつだって視線が気になって仕方がなくなってしまった。
「ひとの視線を気にするなんて、自信が無い証拠では?」と
あなたは笑うかもしれない。
しかし、これを読み終わる頃には誰だってきっと、視線を気にせずにはいられないはずだ…!
(だといいな…!という願いをこめて書くぞ!)
この視線から逃れられるか
この視線にご記憶はないだろうか。
気になり始めたら最後、街なかのあらゆるところでこの視線を探してしまうようになった。
工事してるな…
見られてる!
「不法投棄 厳禁!」
駐輪場でも
ゴミ集積所でも
ときにはダブルで
壁に目あり
…見られている!!
何を見ているのか
彼らはいったい何を見ているのか。
犯罪
万引き
不法投棄
…というように彼らはいろいろ目を光らせているわけだが、
これは「見てる」のは「空巣」のがわであって、
見られているのは我々のほうである、というふうにも思えませんか?
考えすぎかな…
目を光らせている。二つの意味で。
これも空き巣に目を光らせている。
…おや、
顔つきが違うな。
しかも目が光っている。
黒目の部分が反射して光るようになっている。
これは光らないけど、
視線/ピーポ/視線。団結。
これも、目キラリ。
これも目キラリだが、顔のデザインが違う。
左右対称なのだ。
上のほうは切り絵ふうにしているのか、左右非対称。向かって右目の眉毛とアイラインがくっついている。
さらに下まぶた(まぶた?)のライン有無でも区別ができる。
左右対称型の色違い。
赤い目がちょっと炎っぽくも見える。クリスマスっぽさも感じられる。
ところで、この「視線」があるところには大体「防犯カメラ作動中」とかも一緒に掲示されていて、つまり「視線」に向けてスマホを構える不審者(=私)の姿が都内各所の防犯カメラに納められてるってワケ。もしなにか事件が起きて事情聴取されたらなんて答えよう?と常にシミュレーションしながらの収集であった。
結局、正直に「この視線が気になって、集めているんです」と言うことに決めた。
今のところ事情聴取はされていない。
これは視線と防犯カメラのデザインが一体化していて良いデザインだなと思いました。
視線の亡霊
この視線にとらわれると
色あせて力を失ったはずの視線にも反応してしまう
ちゃんと視線を感じる。感じてしまう。
そして幻を見る
はっ…
違う、これは違う…
しっかりしろ、私…!
増殖する仲間たち
今までのものは、なんとなく公のもの、という佇まいだったが
この「視線」が普及した結果なのか、オリジナリティ溢れる作品も散見された。
力強い眉。
黒目がちな瞳。
三白眼。怖い
これを見つけたときには変な声が出た。
正面から。
なんなんだこれは。
最初、「上司」のイメージからの派生なのかと思ったが
もしや「世間の目」の具現化なのか。
場所は新宿駅西口。予想以上のインパクトなのでお近くの方にはぜひ現地でご覧いただきたい。
神出鬼没
やれやれ…
振り返った視線の先、通り過ぎるバス
あっ
あいつだ―!!
あの視線から逃れることはできないのか…
<終>
【2019年8月、引越しとともに追記】2018年6月、自由ポータルに掲載していただきました